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総価契約総価契約(総合価格契約)は、建設や工事の分野において一括で契約金額が決められ設計から施工、試運転までの全工程を包括する契約形態のひとつです。水道工事においても大規模なプロジェクトや施設の建設に際して総価契約が採用されることがあり以下に水道工事における総価契約についてかなり詳しく説明します。
1.総価契約の特徴
●全工程の包括
総価契約では、設計、調査、施工、試運転などプロジェクトに関わる全ての工程が一括して契約の対象となり一貫性のある計画・実行が期待されます。
●固定価格契約
総価契約は、契約総額が固定される形態です。契約総額はプロジェクト全体のコストを網羅する形で算定され変更がない限り変動しません。
●契約期間の一元化
総価契約では、全工程が一つの契約に結びついているため契約期間もプロジェクト全体にわたり時間的な一元管理が可能となります。
●変更に対する柔軟性
プロジェクトの進行中に変更が生じた場合、総価契約は柔軟に対応できる特徴があり変更が契約総額に影響する場合、双方合意のもとで変更が行われます。
●リスクの分担
総価契約では、契約総額が固定されるためリスクの分担が契約締結時に行われ双方がリスクに対して十分な検討を行う必要があります。
2.総価契約の進行手順
●提案書と契約交渉
発注者は、水道工事のプロジェクトに関する提案書を受け取りこれに基づいて契約交渉が開始されます。契約条件や総額、工程などが検討されます。
●契約締結
提案書に基づいて発注者と受注者が合意に達し契約が締結されます。契約締結時には、プロジェクト全体のスケジュールや品質基準、変更への対応などが確認されます。
●設計・調査
契約が締結されたら、設計と調査が始まります。施工に先立って必要な詳細な計画が策定され契約の一部として扱われます。
●施工
設計が完了したら、施工が進行します。この段階では契約に基づいて予定された工事が実施され品質基準に合致するよう確認されます。
●試運転・受け渡し
施工が完了したら、試運転が行われます。その後、発注者と受注者が工事が契約通りに遂行されたことを確認し最終的な受け渡しが行われます。
3.利点と注意点
●利点
・全体最適化
・全工程が一元的に管理されるため、全体最適化が図りやすい。
●柔軟性
・変更が生じた際に柔軟に対応できる。
●一元的な管理
・契約期間や契約総額が一元的に管理されるため進捗状況が把握しやすい。
4.注意点
●リスクの明確化が必要
・プロジェクト全体のリスクを契約締結時に明確にする必要がある。
●変更に対する契約条件の明記
・変更が生じた場合の契約条件を事前に明記することが重要。
●信頼性の向上が求められる
・双方が十分な情報を共有し信頼関係を築くことが重要。
総価契約はプロジェクト全体を包括的に管理するため信頼性の向上やリスクの検討が求められます。水道工事においては、プロジェクトの性格や規模に応じて最適な契約形態を選定することが重要です。